投資に掛かる税金って大きいですよね。
せっかくリスクを取って投資して収入を得ても、2割3割と税金で消えていってしまいます。。
FIREしたい!
真剣に考えるようになると、税金の2割3割が特に大きく見えてきます!
- 配当金控除や外国税控除など、色々良さそうな制度があるのは聞いたことがあるけれど、何をしたらどれぐらい返ってくるんだろう?
- 国内も海外も、インカム狙いもキャピタル狙いも色々買ってるんだけど、それぞれにどんな制度があるの?
- 配当金だけではなく、株式譲渡や投信売却で使える制度はあるの?
- 確定申告することのデメリットはないの?
こんなお悩みをお持ちの方の、参考になりましたら幸いです!
私自身、本記事でそれぞれの制度やメリットデメリットを整理できました。
FIRE後の確定申告時に、記事に習って実行したいと思います!
前提条件
FIRE後に関する費用を前提に算出しています。
つまり、収入は投資関係以外ほぼゼロの状態をベースに検討しています。
参考情報として収入別の税率も示していますので、ある程度の収入を見込んでいる方にもお役に立つかと思います。
今回は、以下の4パターンの節税方法について、検証しています!
収益入手方法 | 国内株式 | 米国株式 |
---|---|---|
配当金(インカムゲイン) | パターン① | パターン② |
売却、譲渡益(キャピタルゲイン) | パターン③ | パターン④ |
まずは、国内株式における配当(インカム)、売却(キャピタル)の節税方法について確認してみましょう。
パターン①:国内株式・配当金(インカムゲイン)節税方法
国内株式の配当金節税対策には、「配当控除」というありがたい制度があります。
こちらを活用した場合、どのようになるのか、確認してきましょう。
確定申告しない場合
確定申告しない場合、配当金には約20%(所得税15%+住民税5%)の税金が掛かります。
収入など諸条件に関わらず、一定の税金が引かれます。
10万円分の配当があっても、手元に残るのは8万円のみとなります。
後述しますが、年収が900万円以上かつ、株に損失が出ていない場合は、確定申告「しない」のがお得です!
税率 | 約20% |
・所得税 | ・約15% |
・住民税 | ・約5% |
確定申告する場合
手間は掛かりますが、確定申告をすることで税金が戻ってくることがあります。(所得によって変わります)
FIRE後、株式収入に頼っている状態なら、少しでも多く取り戻したいですよね!!
以下、課税方式別に確認していきましょう。
その1:所得税総合課税・住民税申告不要とした場合
課税所得が年間900万円以下の場合、配当控除制度により、所得税分の税金が返ってきます。
FIRE後、所得が330万円以下の場合は所得税分が15%⇒0%になります!
課税所得額 | 所得税率 | お得度 | 私の考え |
---|---|---|---|
330万円以下 | 0% | 高!! | 15%分戻ります。絶対やるべき!! |
330万円超695万円以下 | 約10% | 中 | 5%分戻ります。配当額が大きい人はやる価値あり! |
695万円超900万円以下 | 約13% | 低 | 2%分戻ります。配当額が大きい人はやる価値あり! |
900万円超 | 15%以上 | なし | 確定申告なしでOK! |
その2:所得税分離課税・住民税申告不要とした場合
分離課税とした場合は、配当控除により所得税分を取り戻すことはできません。
しかし、株の売却等で損失が出ている場合、控除分を翌年から3年間、繰り越すことができます。
大きな損失があった場合でも、翌年以降の利益と相殺できるので、税金の過払い防ぐことができます。
利益が出ている間は気にする必要はないですが損失が出た場合も「損を減らす制度がある」というのは覚えておいた方が良いですよね。

できれば使いたくない制度ですが。。
国内株式・配当金節税パターンまとめ
FIREした人(年収330万円以下)が、年間配当金を100万円受け取る場合、課税方式別のメリットをまとめてみました!
課税方式パターン | (詳細) | 税率 | 所得税 | 住民税 | 受取額 | メリット |
---|---|---|---|---|---|---|
(税引き前 配当額) | – | – | – | 100万円 | – | |
確定申告しない場合 | 20% | 15% | 5% | 80万円 | 申告不要でラク! | |
確定申告する場合 | 所得税 総合課税 | 5% | 0% | 5%※ | 95万円 | 配当控除により税金が戻ります! |
同上 | 所得税 分離課税 | 20% | 15% | 5%※ | 80万円 | 損失が出た際に損益通算ができる! |
ラクに済ませたいのか、利益が出たときの節税をしたいのか、損失が出たときの節税をしたいのか、その時々で選択できるのが嬉しいですね。

投資以外の収入が少ないFIREの民にはありがたいですね!
※住民税に関する注意点
住民税は、「申告不要」を役所に申告する必要があります。
これをやらないと、配当金の収入が住民税算定時の「所得」とみなされ、国民健康保険料が上がってしまいます。
具体的な方法は各自治体に確認が必要ですが、確定申告の控え・証券会社の特定口座年間取引報告書等が必要になるようです。
パターン②外国株式・配当金(インカムゲイン)節税方法

次に、外国株式での配当金節税方法についてご紹介します。(外国=米国としています)
まずは、確定申告しない場合から、見てみましょう!
確定申告しない場合
米国株の配当金からは、約30%分の税金が引かれています。
100万円分の配当金があっても、受け取れるのは70万円です。
3割引きってかなり大きいですよね。。
税率 | 約30% |
・外国税(米国株) | 約10% |
・国内 所得税 | 約15% |
・国内 住民税 | 約5% |
利回り5%の株式を保有していても、税金により受け取り分は実質3.5%まで下がってしまいます。
SPYDやVYM,HDVなどの高配当ETFを所有したとして、現実的な4%程度の配当を得られることを想定しても、実質利回りは2.8%まで落ちてしまいます。
3,000万円分の高配当ETFを利回り4%で運用したとして、年間120万円だ!と思っていても、実質手取りは84万円となってしまうのです。。

税金のパワーって本当に大きいですね。。
確定申告する場合
外国株式の配当には、外国税と国内税が掛かっています。
それぞれの節税方法について、確認してみましょう。
外国税
外国株式ならでは、+10%に当たる外国税の節税方法「外国税額控除」についてご紹介します。
外国税額控除とは、米国・日本の両方で二重に掛かってしまった過払い税を取り戻すための制度です。
外国税額控除を行うことで、過払い分を所得税・住民税から差し引くことができます。
還元額のMAXは、外国税分に当たる10%となります。

え?二重課税分の10%が全部戻ってくるんじゃないの??
外国税額控除は、配当控除のように、払いすぎた税金がそのまま戻ってくる制度ではありません。
別途支払う必要がある、所得税を減らしてくれる制度です。
控除額計算式
外国税額控除可能額=①所得税額×②国外所得額/③所得額
上記の式から分かることは、③その年の所得額のうち、②米国株による所得が多い場合は、控除可能額が増えます。
③全ての所得=②米国株所得となる場合は、控除額=①所得税額となります。
外国税額(配当の10%)<外国税額控除の場合は、配当の10%が実質戻ってくることになりますが、外国税額>外国税額控除の場合は、10%より小さい金額しか戻ってきません。

確定申告したら10%分が戻る!
のではないのですね。。
①所得税額(収入)が多く、③総所得のうち、②海外由来の収入が多い人は、10%かそれに近い金額が還元されることになります。
国内税
次に、国内税の所得税15%、住民税5%について見てみましょう。
所得税額については、米国株においても、パターン①:国内株式の配当金還付に掛かる確定申告と同じく、確定申告×総合課税を選択することで、税金を下げることができます。
課税所得額(配当所得含む) | 所得税率 | 住民税率※ | お得度 | 考察 |
---|---|---|---|---|
195万円以下 | 約5% | 約5% | 高 | 10%分戻ります。やったほうがお得! |
195万円超330万円以下 | 約10% | 約5% | 中 | 5%分戻ります。配当額が大きい人はやる価値あり! |
330万円超 | 20%以上 | 約5% | なし | 追加払いが発生するので、不可です! |
※ちなみに住民税については、こちらもパターン①同様、「申告不要」とする必要があります。
分離課税の場合は、パターン①と同じく確定申告しない場合と同様の税率になります。
損失が出た場合に選択しましょう。
パターン③:国内株式・売却譲渡益(キャピタルゲイン)節税方法

売却譲渡益に関しては、配当金のように総合課税を選択することができないため、確定申告する・しないに関わらず税率は一定です。
申告パターン | 税率 | 所得税 | 住民税 | 受取額 |
---|---|---|---|---|
税引き前 収支 | – | – | – | 100万円 |
税引き後 収支 | 20% | 15% | 5% | 80万円 |
残念ながら、利益が出ているときの売却譲渡益の節税方法は見つけられませんでした。
しかし、損失がある場合は、確定申告して分離課税にすることで、3年間に亘って利益と損失を相殺できるため、節税につなげることができます。
配当金と譲渡益で課税方式を分けることもできるので、特に損が出ていなければ、「申告不要」で良いと思います。

大きい損失が出た場合は、確定申告しておいても良いですね。
パターン④:外国株式・売却譲渡益(キャピタルゲイン)節税方法
パターン④、としましたが、パターン③と同じです。
国内外に関わらず、利益が出ている際の売却譲渡益の節税方法は見当たりませんでした。
年収・パターン別節税方法まとめ
以下のパターン・年収別で、最適な節税方法をまとめました!
収益入手方法 | 国内株式 | 米国株式 |
---|---|---|
配当金(インカムゲイン) | パターン① | パターン② |
売却、譲渡益(キャピタルゲイン) | パターン③ | パターン④ |
課税所得195万円以下の場合

株式収入含めた課税所得を195万円以下に抑えられる方は、本当にお得になりますね。
少なくとも基礎控除が48万円あるので、所得が243万円以下であれば、こちらの対象になります。
他の控除を活用できれば、もっと所得が多くてもこちらの対象に入ります。
パターン | 確定申告前の課税率 | 確定申告後の課税率 | 課税方式 |
---|---|---|---|
①国内・配当 | 20% | 5% | 総合課税 |
②米国・配当 | 30% (国内20+外国10%) | 10% +外国税控除※(10%未満) | 総合課税 |
③国内・売却譲渡 | 20% | 20% | 申告不要 or 分離課税 |
④米国・売却譲渡 | 20% | 20% | 申告不要 or 分離課税 |

色んな控除を活用すれば、FIREの民はこちらの範囲に入る方が多いのではないでしょうか。
※外国税控除について
例えば、以下の条件では外国税控除がいくらになるのかを試算してみます。
課税所得:所得額194万円、国外所得額97万円(所得の半分が外国配当)の場合
控除額=所得税額9.7万円(194万円×5%)×国外所得額97万円/所得額194万円=4.85万円
国外所得97万円に対して、還付分は4.85万円なので、この場合の戻り率は5%分となります。
課税所得195万円超330万円以下の場合
②の米国配当の所得税率が5%分変わっています。
それでも、やはり確定申告することのメリットは大きいですね。
パターン | 確定申告前の課税率 | 確定申告後の課税率 | 課税方式 |
---|---|---|---|
①国内・配当 | 20% | 5% | 総合課税 |
②米国・配当 | 30% (国内20+外国10%) | 15%+外国税控除(10%未満) | 総合課税 |
③国内・売却譲渡 | 20% | 20% | 申告不要 or 分離課税 |
④米国・売却譲渡 | 20% | 20% | 申告不要 or 分離課税 |
課税所得330万円超695万円以下の場合
課税所得がこの範囲だと、確定申告でメリットが出るのか、申告時も総合課税・分離課税のどちらにするのか、個別に検証する必要がありそうです。
所得のうち、①の国内配当の節税率が大きい、もしくは②の外国税控除の節税率が大きくなる場合は、確定申告のメリットが出そうです。
ただ、申告に手間もかかるので、メリットが大きくないようなら「申告しない」選択もアリですね!
パターン | 確定申告前の課税率 | 確定申告後の課税率 | 課税方式 |
---|---|---|---|
①国内・配当 | 20% | 15% /20% | 総合課税 /分離課税 |
②米国・配当 | 30% | 25%+外国税控除(10%未満) /20%+外国税控除(10%未満) | 総合課税 /分離課税 |
③国内・売却譲渡 | 20% | 20% | 申告不要 or 分離課税 |
④米国・売却譲渡 | 20% | 20% | 申告不要 or 分離課税 |
確定申告作成コーナーで実際に入力して試算することもできます。
確定申告することでのデメリット

これまで、確定申告することで税金が戻ってきます!とメリットばかり説明してきましたが、確定申告にはデメリットもあります。
デメリットの要因は、確定申告により、株式での収益が「所得」とみなされてしまうことにあります。
「所得」が上がることで想定しうる弊害は、以下の通りです。
- 国民健康保険料が上がる?
- 扶養控除の判定から外れてしまう?
- 国民年金は関係あるの?
せっかく投資に掛かる税金を頑張って取り戻したのに、その他の部分で余計なお金が掛かってしまい、結局マイナスになったら意味がないですよね。
それぞれの影響についても見てみましょう!
①国民健康保険が上がる?
国民健康保険のざっくり金額は以下の通りです。
所得額が増えるほど、健康保険の費用も上がっていきます。
総所得別費用
その他収入(年間) | 1人世帯(40歳未満) | 所得割合 | 2人世帯(40歳未満) | 所得割合 |
---|---|---|---|---|
~33万円 | 5万円 | 15%~ | 10万円 | 30%~ |
~50万円 | 10万円 | 20%~ | 15万円 | 30%~ |
~100万円 | 16万円 | 16%~ | 21万円 | 21%~ |
~200万円 | 26万円 | 13%~ | 31万円 | 15%~ |
~300万円 | 36万円 | 12%~ | 41万円 | 14%~ |
所得が日本株配当が税引き前200万円/年のみの場合で比較!
確定申告しないとき:155万円
配当所得:160万円(200万円×0.8)
健康保険料:▲5万円(所得0のため)
確定申告したとき:164万円
配当所得:190万円(200万円×0.95)
健康保険料:▲26万円(所得190万円のため)

せっかく配当控除したのに、これだけしか変わらないの。。?
しかし!!これには対策ができるのです!
確定申告の際もちらっとご紹介しましたが、申告の課税方式は、所得税と住民税でやり方を分けることができます。
住民税を「申告不要」で申請しておけば、国民健康保険料算出に掛かる「所得」は上がりません。
株式所得以外の収入がなければ、最低価格の支出のみで済む、ということですね!

あ~良かった!
参考:国民健康保険計算サイト
②扶養控除の判定から外れてしまう?
配当金などの所得が38万円を超えてしまうと、配偶者控除からは外れてしまいます。
しかし、こちらも住民税を「申告不要」とすることで住民税の配偶者控除を受けることができます。
参考:確定申告住民税と扶養の関係

お住いの市区町村役場でご確認いただくのが適切と思います!
③国民年金は関係あるの?
サラリーマンをされていた方には、なかなか馴染みがないですよね。
私も全く良く分かっていなかったのですが、調べてみたところ、こちらは所得に関わらず一定のようでした。
なので、確定申告には影響しませんね!
ただ、国民年金には扶養の概念がないため、これまで健保で扶養に入っていた方も、1人ずつ加入する必要があります。
国民年金支払い費用 179,880円/年(16,490円/月)
「所得ゼロ」の場合の支払い必要最低額
FIRE時、株式所得収入以外はほどんどない「所得ゼロ」の場合の支払い最低額は、以下の通りとなります。
普段の生活に必要な金額に加えて、以下をしっかり支払えるだけの資金があれば、FIREが見えてきますね!
項目 | 年間費用(1人世帯) | 年間費用(2人世帯) |
---|---|---|
国民健康保険 | 5万円 | 10万円 |
国民年金 | 18万円 | 36万円 |
計 | 23万円 | 46万円 |
まとめ
課税所得が330万円以下の場合、配当金は総合課税で確定申告することでお得になることが分かりました。
(330万円以上の場合は、所得内訳等によって、どちらがお得か個別に検証が必要です。)
所得税とは別に、住民税は「申告不要」の申告をしておくことで、国保等の支払額の上昇も防ぐことができます。
ただし、サラリーマンとは違い、国保や国民年金も自分で納める必要がありますので、生活費の他に、しっかり資金を確保しておく必要があります。

FIREに向けて、一緒に頑張りましょう~!
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